第六回年会セッション1

From Japanese society for quantitative biology
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分野を超える

講演者:
古川 修平(京都大学)
玉田 洋介(基生研)
岡田 康志(理研QbiC)

日時
2013年11月23日 10:20-12:00 セッション1

Chair
新井 由之(大阪大学)


材料化学で生体ガス分子を操る

  • 古川 修平(京都大学)


天体観測に用いる補償光学を応用したライブイメージングの新展開

  • 玉田 洋介(基生研)

 蛍光タンパク質の発見や生細胞蛍光プローブの開発以来、光を用いて生きた組織や細胞を観察するライブイメージングは分子生物学研究に不可欠の手法となっている。その一方、より高精細の細胞観察、もしくはより深い組織の観察への要求が強くなるにつれ顕著になってきたのが、生体内構造に由来する像の劣化の問題である。生体内・細胞内における多様な構造は一般にそれぞれ異なる屈折率を有しており、その境界を通過することによって光が屈折し、得られる像が劣化する。

 我々はこれまでに、分化細胞から幹細胞化を高効率に誘導でき、さらに多くの組織が単一の細胞層で構成されているヒメツリガネゴケを用いて、幹細胞化過程におけるクロマチン修飾のライブイメージングを行ってきた。しかしながら、一層の細胞内でも像が乱れ、期待した回折限界に近い核内ライブイメージングが行えていないのが現状である。

 こうした問題を解決できると期待されているのが、補償光学である。補償光学とは天文学において発展してきた技術で、地上から天体を観測する際に生じる大気揺らぎによる像の劣化を大幅に低減することができる。具体的には、大気揺らぎによって乱れた光の波面をセンサーでとらえてコンピューターで解析し、その乱れを補正する方向に可変形鏡のパネルを制御することにより、画像を取得する前の段階で波面を整え、鮮明な天体像を得ることができる。この原理を顕微鏡に応用できれば、細胞内構造に由来する光の屈折を補正し、精細なライブイメージングを行うことができると期待される。

 我々はこれまでに、基礎生物学研究所と国立天文台の共同研究の元、ヒメツリガネゴケ細胞の光学特性を詳細に解析した上で、細胞を通過した光の屈折を補正する補償光学広視野蛍光顕微鏡の試作機を開発した。それを用いて、植物細胞の光学特性を模した人工試料像の歪みを補正し、さらにタマネギやヒメツリガネゴケ細胞の精細な細胞核ライブイメージングに成功した。発表では、現在得られている結果を報告するとともに、現在の補償光学顕微鏡システムの問題点やその応用性について議論したい。

TBA

  • 岡田 康志(理研QbiC)


ディスカッション



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